ポプテピピックは「ホントは真面目」
『ポプテピピック』1話より
粒ぞろいの2018年冬アニメの戦場を自由奔放に引っ掻き回し続け、「言及した時点で負け」とまで評される愛すべきクソアニメ「ポプテピピック」。
冷静に考えればすごく当たり前のことだが、ポプテピピックは非常に真面目に作られていると思う。
これは別にOPは真面目だからだとか、大物声優を起用しているから金がかかっているとかそういうことではない。
そもそも漫画やアニメが好き勝手作ってできるものではないので、原作者やアニメスタッフはきちんと真面目にネタを練っているのだろう。しかしポプテピピックは数あるパロディギャグ作品の中でも非常に「真摯にパロネタと向き合っている」のだ。
ポプテピピック1話のネタを少しを振り返ってみる。
アバンOPの星色ドロップ。
『ポプテピピック』1話より
いわゆる王道な「ハーレムもの」の典型をなぞったもので、原作にもきちんとあるネタだが、冷静に考えるとコレ
・キャラデザをわざわざ作っている。
・それっぽいカットを入れたOPを作っている。
・それに合った美術を用意している。
たった数分のネタのためだけの割にはそれなりに手間が掛かっている。
「君の名は。」ネタ
『ポプテピピック』1話より
普通のアニメであれば「BGMを寄せる」「入れ替わってるー」とキャラに言わせるくらいで雑にパロを行うくらいだが、ポプテピピックは『運命の出会いから「君の名は」と問いかける』という一連の流れを作っており、本編のラストの展開を忠実になぞっていたりする。
さらに、「空から星が落ちてきて」爆発するというオチも『隕石が降ってきて死んでしまう』という本編の展開と同じ。「君の名は」のキーワード部分を雑に出しているのではなく、独特な意味不明さを出しながらも起承転結できちんと「君の名は」ネタになっているのだ。
るろ剣の月岡ネタ
まず序盤の「サバサバ系女子を殺しに行くのだな?」、背景がサバンナ、からのピピ美のとんがった特徴的な猫耳で「けものフレンズ」ネタとすぐにわかるようにできている。(ここも、サーバルちゃんとかばんちゃんの「出会い」のシーンをなぞっている)
『ポプテピピック』1話より
まず吹き出しまでとてもよく似ている。(訴えられろ)
またこのネタ、いくら何でもマニアックすぎないかと思われるかもしれないが、るろ剣を京都篇まで読んでいるファンならわかる。
実はこの月岡の炸裂弾の改良型を京都篇で主人公たちが使用するのだが、その際敵の最終兵器である甲鉄艦のシャフトをわずか三発の炸裂弾で大破させ、無力化してしまうという大戦果を上げている。*1
そのため、一部のコアなファンからは「志々雄(京都篇のラスボス)はコイツを仲間に加えればよかったのに」「コイツ一人で国家転覆出来たやん」「最強キャラ候補の一人」とネタ交じりで言われ、一部界隈ではコラ画像が普及した「るろ剣のコアなファンにとってはかなり印象的なシーン」だったりする。
決して、マイナーな場所を選んで視聴者に「意味不明!」と言わせようとしているのではない、るろ剣のコアなファンならきちんと楽しめる場所をセレクトしているのだ。
※これはコラ、でももしこうなっていたら敵側の勝利で終わっていたかもしれない
最後に
クロノトリガーとレイズナーネタなどは知識がないため僕は初見時では拾えなかったが、この1話のネタの多く*2は「出会い」に関連したネタになっている。
何もかもに一貫性がないわけではないし、ゲームパートや「ザ・エンドってね」のパロディパートはマニアックであるものの、知っている人なら一瞬で気づけるレベルほど再現率が高い。
Twitterで「クソアニメ意味不wwww」や「声優ネタしかねえじゃんwwwwワロwww」などと言っていると知らないうちに無知を晒して恥をかいている危険性があるのがこの作品の恐ろしいところなのだ。
あまりの突拍子のなさと自由っぷりに誤魔化されそうになるが、実際ネタの細かさや作り込み、元ネタに対するリスペクト具合は間違いなく冬アニメどころかここ数年のアニメの中でもトップクラスと言ってもいい、まさに「プライベートではメチャクチャ誠実で真面目な高田純次のような作品」なのだ。キングレコードも伊達に金はかけていない。
我々はこれからも、気をしっかり持ってこのクソアニメを視聴していかねばならないのである。